A判・B判
いわゆるA4、B4などの紙のサイズを表す言葉で、サイズは共に日本標準規格(JIS)によって制定されています。A判は1929年(昭和4年)に、日本において「紙の仕上げ寸法」が制定された際に取り入れたドイツの規格が原型で、現在は国際規格となっています。B判は、日本の寸法に由来する日本独自のものです。それぞれ最大0判から10判までがあり、数字が大きくなるほど紙の面積は小さくなります。 ちなみに、A判B判共、縦横の比率は1:√2で、長い辺で紙を折り、これを何度繰り返しても縦横の比率が変わらず、無駄無く効率的に紙が使用できる仕組みになっています。
関連ページ:紙のQ&A「紙のサイズはどのように決まっているのですか?」
BKP
漂白したクラフトパルプ。全パルプ生産量の80%以上を占め、印刷・情報用紙や衛生用紙等に配合されます。
関連用語:クラフトパルプ(KP)
関連ページ:パルプ
FSC
1993年、環境団体や林産品企業、先住民団体、地域林業組合、林産物認証機関など異なったグループの代表者により非営利団体の会員制組織として設立された森林認証制度の運用主体の草分け的存在。本部は2003年よりドイツのボン。2019年1月現在84カ国で1億9600万haの森林が認証され(FM認証)、加工・流通過程の管理認証(CoC認証)は124カ国約3万6千件。
関連用語:森林認証制度、PEFC、SGEC
関連ページ:森林認証制度について
LBKP
広葉樹の原料を漂白したクラフトパルプ(BKP)。広葉樹はドイツ語でLaubholzと表記し、頭文字のLを取っている。
関連用語:クラフトパルプ(KP)、BKP、広葉樹
関連ページ:パルプ
NBKP
針葉樹の原料を漂白したクラフトパルプ(BKP)。針葉樹はドイツ語でNadelholzと表記し、頭文字のNを取っている。
関連用語:クラフトパルプ(KP)、BKP、針葉樹
関連ページ:パルプ
NOx
窒素酸化物のこと。一酸化窒素、二酸化窒素、亜酸化硫黄などが含まれ、大気汚染や酸性雨の原因のひとつと言われています。物質の燃焼や自動車の排気ガスなどによって排出されることが知られており、現在は法律によりその排出量が規制されています。
関連用語:SOx
関連ページ:化学物質対策
PEFC
小規模林家や家族経営の林家からの認証参加への要望に応えるため、独立した審査を通じて各国の森林認証制度の承認を実行する新しいビジネスモデルに立脚した国際統括組織として、1999年6月に欧州11か国の森林認証制度の代表によりパリで設立。2020年6月現在約3億1900万haの森林が認証され(FM認証)、CoC認証は(76カ国)約1万2163件。認証された森林面積としては最大。また、2020年6月末時点で、国・地域ごとに開発された森林認証制度のうち47制度がPEFCの相互承認を受けています。
関連用語:森林認証制度、FSC、SGEC
関連ページ:森林認証制度について
PPC用紙
複写機(コピー機)に使用する紙。PPCはplain paper copierの略。情報用紙に分類されます。現在はコピー機の他、レーザープリンターやインクジェット、FAXなど様々な用途で使用されています。
関連用語:印刷・情報用紙
RPF
マテリアルリサイクルが困難な古紙と廃プラスチック(非塩素系)から作られた工場系廃棄物燃料の一種。原料が紙と、石油を由来とする非塩素系プラスチックなのでダイオキシンが発生しないうえ、石炭同等の火力エネルギーをもつリサイクル固形燃料です。
関連用語:マテリアルリサイクル
関連ページ:非化石エネルギーの利用
SGEC
日本は、海外に類を見ない人工林の規模を有し、数世紀にわたる森林施業の歴史があり、他国に比べても優れた独自の「森林計画制度」や「保安林制度」が法制化され、これをもとに森林に関する仕組みが構築されています。こうした実績を踏まえて、2003年、日本の林業・木材産業界はもとより、学会、経済界、環境NPO等の参加のもと国内認証制度として創設され、2016年6月にはPEFCから相互承認されています。2020年3月現在約215万haの森林が認証され(FM認証)、CoC認証は国内701件。
関連用語:森林認証制度、FSC、PEFC
関連ページ:森林認証制度について
SOx
硫黄酸化物のこと。一酸化硫黄、二酸化硫黄、三酸化硫黄などが含まれ、大気汚染や酸性雨の原因のひとつと言われています。火山ガスなどによっても排出されますが、石油や石炭などを燃焼する際にも大量に発生し、一時期大きな問題となりました。現在は法整備と脱硫設備が整い改善傾向にあります。
関連用語:NOx
関連ページ:化学物質対策
UKP
漂白していないクラフトパルプ。主な用途は、段ボール原紙や未晒包装紙。特にパルプ強度が要求されるため、主として針葉樹のチップを原料として製造されます。
関連用語:クラフトパルプ(KP)、BKP
関連ページ:パルプ
違法伐採
伐採が行われる国・地域の法令に違反して行われる伐採のこと。日本の製紙産業では、原料の木材チップを持続可能な森林経営が行われている地域から森林認証材及び管理木材を輸入しています。また、日本製紙連合会では、業界全体として違法伐採問題に取り組むことが重要であるという認識に基づき、違法伐採に対する独自の行動指針を策定するとともに、会員企業の違法伐採対策の取り組みについて監査を実施しています。
関連用語:持続可能な森林経営、森林認証制度
関連ページ:違法伐採木材について
印刷・情報用紙
主に書いたり、印刷したりして情報を伝えるための紙。非塗工印刷用紙、塗工印刷用紙、特殊印刷用紙、情報用紙の4つの品種に大別され、白色度や機能・用途などによってさらに細かく分類されます。原料は主に漂白したクラフトパルプ(BKP)が用いられています。
関連用語:PPC用紙、塗工印刷用紙、非塗工印刷用紙
関連ページ:紙の種類
衛生用紙
液体や、汚れをふき取るための紙。ティシュペーパーやトイレットペーパー、タオル用紙、その他衛生用紙に大別されます。
関連ページ:紙の種類
エネルギー原単位
単位当たりの製品を生産するのに必要な電力や熱量などのエネルギー消費量。省エネルギー化の指標とされています。製紙産業においては「紙を1トン生産するのに必要なエネルギー量」を指します。製紙産業では、全体の削減はもちろん、二酸化炭素排出抑制も目指し、石油や石炭などの「化石エネルギー原単位」の削減に取り組んでいます。
関連ページ:エネルギー利用の特徴
カーボンニュートラル
木材や紙を焼却した際に排出されるCO2は、木材の成長過程において、吸収・固定されたCO2とみなされ、新たにCO2を排出したことにはならないという考え方。国際的な取り決めにより排出量としてカウントしないことが認められています。持続可能な森林経営により、伐採された木材と同量以上の植林がされることが前提。
関連用語:持続可能な森林経営
化学パルプ
薬品を加え煮て、リグニンを取り除き、木材から繊維を取り出して作るパルプのこと。製造方法には、サルファイトパルプ(SP)やクラフトパルプ(KP)があります。
関連用語:クラフトパルプ(KP)、古紙パルプ、機械パルプ、リグニン
カスケード利用
資源やエネルギーを利用すると品質が下がりますが、その下がった品質レベルに応じて何度も利用すること。木材の場合、建材等の資材として利用した後、ボードや紙等の利用を経て、最終段階では燃料として利用すること。
化石エネルギー
太古の生物の死骸などが、地下深く堆積し温度や圧力により石炭、天然ガス、石油などの燃料に変化したものです。燃焼すると、二酸化炭素が大気中に放出されます。二酸化炭素は温室効果ガスの一種であり、地球温暖化を助長するものとされるため、環境対策の観点から化石エネルギーの利用削減が世界的レベルで求められるようになりました。製紙産業においてもこれらの削減を目指しています。
関連用語:地球温暖化
間伐材
人工林において、樹木の込み具合に応じて一部の樹木を伐採し、残った木の成長を促すことを「間伐」といい、間伐によって発生した木材のことを「間伐材」と言います。製紙業界で使用される木材原料のうち針葉樹は国産、輸入ともに製材残材が主で、その他に利用されない間伐材などの未利用材を多く使用しています。これらは未利用資源の有効活用を図る観点で環境にやさしい原料となっています。間伐材の利用を推進することは、森林資源の健全な整備に貢献するだけでなく、地球温暖化防止にも貢献しています。
関連用語:人工林、製材残材、地球温暖化
関連ページ:木材の有効利用
機械パルプ
木材を機械ですりつぶし、リグニンが混ざった状態の繊維を取り出して作るパルプのこと。製造方法には、砕木パルプ(GP)やリファイナーグラウンドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)があります。新聞用紙や中・下級紙の主原料として使われます。
関連用語:砕木パルプ(GP)、化学パルプ、古紙パルプ、リグニン
気候変動枠組条約
大気中の温室効果ガス(CO2,メタンなど)の濃度を気候体系に危害を及ぼさない水準で安定化させることを目的とした条約。1992年5月に作成し,1994年3月に発効。(締約国数:197か国・地域的な経済統合のための機関)。先進国・途上国の取扱いを「共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力」として以下のように区別しています。
ア 附属書I国=温室効果ガス削減目標に言及のある国(先進国及び市場経済移行国)。(注:削減義務そのものはない。)
イ 非附属書I国=温室効果ガス削減目標に言及のない途上国。
ウ 附属書II国=非附属書I国による条約上の義務履行のため資金協力を行う義務のある国(先進国)。
関連用語:地球温暖化
行政回収
禁忌品
製紙原料にならないもの、古紙に混ぜてはいけない異物のこと。製造工程でのトラブルや品質低下の原因になります。禁忌品には紙以外のもの(粘着テープ、ファイルの金具、セロファン等)はもちろんですが、紙製品でも除外品(窓のついた封筒、ビニールコート紙、感熱紙、カーボン紙等)があります。
関連用語:古紙
関連ページ:分別回収について
クラフトパルプ(KP)
木材チップを苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)と硫化ソーダ(硫化ナトリウム)で煮て作られるパルプ。クラフトパルプを作る途中で黒液が発生します。黒液は回収ボイラーで燃焼させてエネルギーとして活用しています。クラフトパルプは、木材の樹種を選ばず、強度の高いパルプとなります。日本において、全パルプ生産量に対するクラフトパルプ生産量の比率は、約92%(2019年)となっています。
関連用語:化学パルプ、BKP、UKP
ケミカルリサイクル
回収された再資源をそのままでなく、化学反応により組成転換した後に再生利用を行うこと。廃プラスチックリサイクルの手法で、コークス炉化学原料化、ガス化、油化などを指します。
関連用語:マテリアルリサイクル、サーマルリサイクル
原生林
天然林がこれ以上遷移しない安定した状態になった極相林のこと。
関連用語:天然林
広葉樹
葉が広く平たい樹木(ケヤキやブナなど)の総称で、主に温帯から熱帯を中心に分布しています。広葉樹の繊維は針葉樹に比べて短く、なめらかな紙を作るのに適しているため、主に印刷・情報用紙に利用されるなど、目的に応じて使用されています。
関連用語:針葉樹、印刷・情報用紙
関連ページ:パルプ材
コージェネレーションシステム
石油やガスを燃料に発電し、その際に発生する廃熱を回収し、再度発電をしたり、蒸気などに利用したりするシステム。大量の電気と蒸気を使う製紙産業では、このシステムは古くから普及しており、燃料を燃やして発生する蒸気を発電や紙の乾燥用などに利用しています。
関連ページ:循環型産業について
黒液
木材チップを薬品で溶かし出し、木材パルプを抽出する際に発生する廃液のこと。木材に含まれるリグニンや樹脂成分、薬品などが主成分。木材を原料とするので、燃やしても二酸化炭素は自然循環すると考えられるバイオマスに属しています。製紙産業では黒液を燃料として有効利用しています。
関連用語:リグニン
関連ページ:非化石エネルギーの利用
国連環境開発会議(UNCED)
1992年6月3日から14日にブラジルのリオデジャネイロで開催された環境と開発をテーマにした国連会議(United Nations Conference on Environment and Development, UNCED)。一般的に「地球サミット(the Earth Summit)」の名でも知られています。各国は自国の資源の開発主権を有するとともに他国の環境に損害を与えないようにする責任があること、地球環境悪化に関しては、先進国と途上国とでは、共通だが差異のある責任(common but differentiated responsibilities)を有することなどの環境と開発に関する基本原則を述べた「リオ宣言(Rio Declaration on Environment and Development)」、持続可能な開発に向けた実施計画である「アジェンダ21(Agenda 21)」等が合意されました。森林に関しては、自国の資源に対する利用制限をおそれた途上国の反対が強く、法的拘束力を有する森林条約等を交渉するに至らなかったことから、それに代わるものとして、法的拘束力のない「森林原則声明」が採択されました。
関連用語:森林原則声明
古紙
製紙メーカーから製品として流通し、一般家庭や会社などで利用された後の紙や、紙製品等を作る際に断裁された後の余った紙が、再利用を目的に回収されたもの。「古紙」の利用はゴミの減量化、エネルギー削減、資源の有効活用につながります。
関連用語:禁忌品
関連ページ:古紙利用の重要性
古紙回収率
国内で消費した紙・板紙のうち、古紙として回収された割合。
関連用語:古紙利用率
関連ページ:古紙利用率65%目標について
古紙パルプ
古紙を原料に製造されたパルプ。古紙パルプのうち、印刷インクを取り除き漂白したパルプを脱墨パルプ(DIP)といいます。脱墨パルプは新聞用紙や印刷用紙、トイレットペーパーなどの原料に、脱墨していない古紙パルプは段ボール原紙などの原料として使用されます。
関連用語:化学パルプ、機械パルプ
古紙リサイクル
製紙メーカ一から出荷された紙や紙製品が古紙として回収され、再び紙に戻るまでの一連の流れ。
関連ページ:古紙利用の重要性
古紙利用率
製紙原料に占める古紙の割合。
関連用語:古紙回収率
関連ページ:古紙利用率65%目標について
サーマルリサイクル
廃棄物を単に焼却処理するのではなく、焼却した時に生じる熱エネルギーを発電や熱源として有効利用すること。製紙産業では、マテリアルリサイクルが困難な古紙と廃プラスチックを混合したRPFを燃料利用するなどして、サーマルリサイクルに取り組んでいます。
関連用語:マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル
再生可能エネルギー
絶えず資源が補充されて枯渇することのない、利用しても比較的短時間に自然に再生するエネルギーのことで、CO2を排出しません。太陽光、太陽熱、水力、風力、地熱、波力、温度差、バイオマスなどが挙げられます。
関連用語:バイオマス、廃棄物エネルギー
関連ページ:非化石エネルギーの利用
砕木パルプ(GP)
針葉樹の原木(丸太)をグラインダー(回転する円筒形の砥石)で機械的に磨砕して作ったパルプ。新聞用紙、中・下級印刷用紙等に広く使用されます。木材からパルプを作る方法としては最も古く、19世紀半ばに始まるものであり、1950年代までは機械パルプの主流でした。繊維とリグニンの大半をパルプ化するため、収率が高く多くのパルプが取れますが、白色度・強度は化学パルプと比較すると低くなります。
関連用語:機械パルプ
産業植林
紙器用板紙
お菓子や化粧品、ティシュなどの箱に使われる紙。代表的な品種に表面の両面または片面が白い白板紙があります。箱のほか、出版物の表紙、紙製玩具、ディスプレーなど様々な用途にも使用されます。
関連ページ:紙の種類
持続可能な森林経営
森林生態系の健全性を維持し、森林からの製品・サービスを現在及び将来の世代が享受できるような森林経営を行うこと。
関連用語:森林認証制度、モントリオール・プロセス
関連ページ:製紙産業のスタンス
集団回収
町内会、自治会、婦人会などの人々が中心になり、時間や場所を決めてその地域に住む人々から古紙などのリサイクル可能な資源を集め、回収業者に渡す回収方法のこと。
関連用語:行政回収
関連ページ:分別回収について
抄紙機
紙を抄造するための機械。抄紙機は主に以下のパートによって構成されています。
①ワイヤーパート:水に希釈されたパルプをワイヤー(網)の上に薄く広げ、紙の層の形成と脱水をするパート。
②プレスパート:フェルト(布)の上に乗せて、プレスロールで挟んで水を絞るパート。
③ドライヤーパート:蒸気で加熱した鉄製の筒に湿ったシートを押し付けて乾燥させるパート。
④リールパート:出来上がった紙を巻き取るパート。
関連ページ:紙の製造工程、省エネ技術
植林
人工的に木を植え森林を造成すること。製紙産業では、紙の原料となる木材の安定確保を目的に植林活動を主に海外で行っています。植林活動は植林木伐採跡地の他、荒廃地や牧草地、灌木地などに新たに植林するケースが多く、植林地では収穫したら更新するといったサイクルを循環させることで持続可能な森林経営を行っています。
関連用語:産業植林
関連ページ:植林について
人工林
主に環境保護や産業用の原料確保のために、人の手によって苗木が植えられ、成長に合わせて保育や間伐などの手が加えられた森林を「天然林」に対して「人工林」といいます。日本では森林の4割が人工林であり、主にスギやヒノキなどの針葉樹が育てられています。これらの人工林においても、天然林同様、製紙原料となるのは細かったり曲がったり芯が腐ったりして建築材などに使用できない低質材や、丸太などに加工する際に発生する端材(製材残材)です。また、日本の製紙業界が輸入している木材も、ほとんどが計画的に植林・伐採された人工林材となっています。
関連用語:天然林、二次林、製材残材
関連ページ:パルプ材
新聞巻取紙
新聞印刷に使用される紙。吸水性が高く、高速の印刷に耐えられる強度を持っています。以前は機械パルプが主原料でしたが、現在は古紙を主原料に製造されています。
関連用語:針葉樹、機械パルプ、古紙パルプ
関連ページ:紙のQ&A「新聞紙が軽くなっているというのは本当ですか?」、紙の種類
針葉樹
葉が針のように細長い樹木(マツやスギなど)の総称で、主に温帯北部から冷帯を中心に分布しています。日本における人工林ではその比率は高く、多くがスギやヒノキなどの針葉樹となっています。これらの樹種は繊維が整然としていて長く、強度の高い紙を作るのに適しているため、高速印刷にかける新聞紙や丈夫さを求められる包装紙など、目的に応じて使用されています。
関連用語:広葉樹、新聞巻取紙、包装用紙
関連ページ:パルプ材
森林減少問題
開発途上地域、特に熱帯地域を中心に、森林が減少傾向にあり国際的に問題視されています。森林減少は生態系の破壊や地球温暖化、砂漠化を引き起こすからです。森林減少の原因は先進国による商業伐採のためと考えられがちですが、実際は森林から農牧地への土地利用転換、焼き畑農業、薪炭材採取、森林火災などが主な原因となっています。
関連用語:地球温暖化
森林原則声明
1992年(平成4年)の地球サミットで採択された森林に関する初めての世界的な合意文書。
正式名称:「全ての種類の森林の経営,保全及び持続可能な開発に関する世界的合意のための法的拘束力のない権威ある原則声明」
森林に対する各国の主権の確認,森林の保全・回復及び持続可能な経営の実施に向けて各国は努力し、国際社会は協力すべきこと等、森林の保全、持続可能な経営・開発の実現に向け国レベル、国際レベルで取り組むべき15項目の内容を規定しています。
関連用語:国連環境開発会議(UNCED)
森林認証制度
第三者機関が環境・経済・社会の3つの側面から一定の基準をもとに適切な森林経営が行われている森林や経営組織を認証する制度。森林認証には、適切な森林経営が行われていることを認証する「FM認証」と、FM認証を受けた木材や木材製品が加工・流通過程において非認証材と混じらないよう適切に管理が行われていることを認証する「CoC認証」があります。国際的な森林認証制度としてFSCとPEFCがあるほか、SGEC(日本)やSFI(北米)など国・地域ごとに開発された制度があります。
関連用語:持続可能な森林経営、FSC、PEFC、SGEC
関連ページ:森林認証制度について
製材残材
製材工場等から発生する樹皮や背板、のこ屑などの残材のこと。日本の製紙産業の原料となるパルプ材の針葉樹のうち輸入材の66%、国産材の56%を製材残材が占めています。貴重な森林資源を余すところなく利用し、木材の有効利用に努めています。
関連用語:チップ
関連ページ:木材の有効活用
生産林
公益的機能の発揮に配慮しつつ、木材生産を主体として資源の循環利用行う森林のこと。
生物多様性条約
1992年に開催された「リオ地球サミット」にて採択された条約。人間は、生態系の一員として多くの生物と共存するとともに、食品・医薬品など、生物を幅広く利用し、その恩恵を享受してきました。その一方、近年、生態系の破壊等により、生物種の大幅な減少に対する懸念が深刻化しています。このような事情を背景に、生物の多様性を包括的に保全するとともに、生物資源を持続可能な形で利用していくため、国際的な枠組みを制定すべきとの議論が活発化し、1993年12月29日、所定の要件を満たし発効しました。生物多様性条約は、次の3点を目的としています。
①生物の多様性の保全
②生物資源の持続可能な利用
③遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分
関連用語:国連環境開発会議(UNCED)
関連ページ:生物多様性の保全
生分解性
バクテリア、菌類、その他の生物によって有機物などの化合物が二酸化炭素、水、アンモニアなどの無機物まで分解されることをいいます。分解速度は、光や水、酸素や温度などの環境や、その化合物自体が分解菌に利用されやすいかどうかに左右されます。
セルロースナノファイバー(CNF)
植物の主成分であるセルロースを、ナノサイズ(10億分の1メートル)まで解きほぐした繊維。軽量な素材でありながら鋼鉄の5倍以上強く、熱による変形が少ない。植物由来であるため、環境負荷が少なく、持続可能な資源豊富な森林資源が原料です。自動車部品や建築材料、電子部品、包装材、食品、化粧品など幅広い用途への利用が期待され、現在、製紙メーカーを中心に様々な業界で研究開発や用途開発が進められています。
段ボール原紙
段ボールを作るための紙。ライナー、中しん原紙の2種類があります。ライナーとライナーの間に波状の中しん原紙を挟みこみ、強度をもたせ段ボールに加工されます。段ボールは青果物・家電・電子部品・宅配など様々な製品の物流になくてはならない資材です。段ボール原紙の製造に用いる原料の90%以上は古紙となっています。
関連用語:ライナー、中しん原紙、古紙
関連ページ:紙の種類
地球温暖化
地球規模で気温が上昇する現象。地球温暖化により、海面水位が上昇し、また熱波や大雨・干ばつなど異常気象が増加する恐れがあり、自然生態系や人間の生活環境・農業などへの影響が懸念されています。主な原因は大気中の温室効果ガスの一種である二酸化炭素が、産業の発達などに伴い著しく増加したことと考えられています。そのため世界各国の個人及び企業レベルでの二酸化炭素排出削減が喫緊の課題となっています。製紙産業においても、省エネルギーや化石燃料からバイオマスエネルギーへの燃料転換など、二酸化炭素排出削減への積極的な取り組みがなされています。
関連用語:森林減少問題
関連ページ:非化石エネルギーの利用
チップ
天然林
自然の力で育ち、人手が入っていないか、長い間にわたって人手の入った痕跡のない森林。
関連用語:人工林
塗工印刷用紙
印刷適性を高めるために、顔料と接着剤を混合した塗料や合成樹脂などを紙の片面,あるいは両面に塗布した紙。ポスターやカタログ、カレンダー、パンフレット、チラシなどに使用されます。
関連用語:非塗工印刷用紙
中しん原紙
二次林
伐採や災害などの被害により立木が失われた後に、自然の力で再生した森林のこと。
関連用語:人工林
熱帯林(熱帯雨林)
緯度23.5度にある南北2つの回帰線に挟まれた地域を熱帯と呼び、ここにある森林を「熱帯林」と言います。熱帯の中にも気候には地域差があり、このうち多雨地方にある森林が「熱帯雨林」と呼ばれています。近年熱帯林の減少が叫ばれ、原因は先進国の産業原料調達のための伐採によるものと思われがちですが、実際は現地の人口増加などにより、森林を焼き払ったり伐採したりして、農牧地へと転換していることなど原因は多岐に渡ると言われています。製紙産業が熱帯林から得ている木材チップは人工林によるもので、天然林ではありません。また熱帯雨林は樹種が多種多様なため、均一の木材が大量に必要な製紙産業には不向きとされ、利用されていないのが実情です。
関連用語:森林減少問題
バイオマス
生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、再生可能な生物由来の有機性資源の総称です。廃棄物系バイオマス、未利用バイオマス、資源作物(エネルギーや製品の製造を目的に栽培される植物)に分けられ、黒液をエネルギーとして利用している紙・パルプ産業は最大のバイオマス利用産業です。
関連用語:黒液
関連ページ:非化石エネルギーの利用
廃棄物エネルギー
廃棄物を燃やした時の熱を利用するエネルギーのことで、廃棄物発電があります。廃棄物エネルギーは、バイオマスエネルギー、未利用エネルギーと共に新エネルギーの1つとされています。廃棄物処理をすることは、廃棄物を燃やすだけでなく、エネルギーを利用し、資源化、地域への還元という機能があります。
関連用語:再生可能エネルギー
関連ページ:非化石エネルギーの利用
煤塵
石炭や石油など化石エネルギーを燃焼した時に発生するススなどの細かい浮遊物のことを言います。製紙産業では回収ボイラーから発生する煤塵が一時期問題視されましたが、設備の増強・改善によりこれらの問題はすでに解決されています。
パルプ
木材を細かくほぐして、繊維の集まりの状態にしたもの。パルプの種類は、原料と製造方法によって分けられます。原料には木材、非木材、古紙があり、木材ではさらに針葉樹と広葉樹に大別されます。木材パルプの製造方法は、機械パルプ、半化学パルプ、化学パルプに分けられます。
関連用語:古紙、針葉樹、広葉樹、機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプ
関連ページ:パルプ
非塗工印刷用紙
塗料が塗布されていない紙のこと。書籍や教科書、ノート、辞書などに使用されます。
関連用語:塗工印刷用紙
不織布
木材、レーヨン、合成繊維などの繊維を接着材など様々な方法で結合させてシート状にした素材。繊維が木材に限られないことから紙でもなく、編みや織りに頼らないことから布でもない新たな素材とされています。日常生活の中では、ティーバッグ、ウェットタオル、紙おむつなどに紙の代わりとして、衣料の芯地などには布の代わりとして、幅広く使われています。
関連用語:塗工印刷用紙
関連ページ:紙のQ&A「不織布は紙ではないのですか?」
分別回収
家庭などから出るごみを、燃えるごみ、燃えないごみ、資源ごみ(古紙、空き缶、ペットボトルなど)などに分けて回収すること。古紙については、さらに段ボール、新聞、雑誌、牛乳パック、その他の古紙(雑がみと呼ばれます)などに分けて回収されます。
関連用語:古紙
関連ページ:分別回収について
ペーパースラッジ
紙の製造工程(古紙を再生する工程)で生じる細かな繊維分などを含む有機性汚泥のこと。バイオマスの一種であり製紙産業では燃料として活用しています。
関連用語:バイオマス
関連ページ:非化石エネルギーの利用
包装用紙
マテリアルリサイクル
モントリオール・プロセス
溶解パルプ(DP)
化学的に高度に精製したパルプ。繊維素の純度を高めるため長時間かけて蒸解、精選します。主として薬品に溶解して使用し、レーヨン等の化学繊維、セロファン、セルロース誘導体などの主原料となります。
関連用語:化学パルプ
ライナー
リグニン
木材の植物繊維を固めるために接着剤の役割をするリグニンは紙の強度や白色度の低下の原因となります。一般にはリグニンを除去した化学パルプのほうがリグニンを残している機械パルプよりも白色度は高くなります。一方で、リグニンは蒸解液中に溶出して黒液と呼ばれる溶液となり、これは蒸気や電力を作るための燃料となります。環境に負荷をかけないために製紙産業では積極的に非化石エネルギーを活用しています。
関連用語:黒液、化学パルプ、機械パルプ
和紙
日本で発展してきた紙の総称。原料には麻や楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)などが使われます。手漉き和紙と機械抄き和紙とに分類されます。伝統的には靭皮繊維に多くの場合ネリを加え、手漉き法によって製造された紙。現在では、化学パルプを用い機械抄き法によるものが多いです。
引用:紙の博物館『新版 紙の知識』
関連用語:化学パルプ