サステナビリティ

生物多様性の保全

行動指針

日本製紙連合会は、2014年6月20日に「生物多様性保全に関する日本製紙連合会行動指針」を策定し、2025年1月20日に改定を実施致しました。

生物多様性保全に関する日本製紙連合会行動指針

行動指針策定の背景

アフリカや南米などで熱帯林の破壊や劣化が進行するなど、地球規模での自然環境問題が深刻さを増していますが、1992年6月にブラジルのリオデジャネイロで開催された「国連環境開発会議(UNCED)」においては、「持続可能な開発(Sustainable Development)」という概念が提唱され、その実現のために「気候変動枠組み条約」等と併せて「生物多様性条約」が採択されました。

2010年10月に名古屋で開催された「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」においては、名古屋プロトコルが採択され、愛知目標「2020年までに生物多様性の損失を止め、健全な状態に戻していくこと」(5つの戦略目標と20の個別目標)が定められました。その中では、国レベルの政策のみならず、企業活動においても生物多様性に対する配慮が強く求められるようになってきました。
「日本製紙連合会」と「愛知目標」との関係

このような状況を踏まえ、日本製紙連合会は2014年6月20日に「生物多様性保全に関する日本製紙連合会行動指針」を策定致しました。

行動指針の改定と製紙産業の取組

製紙産業は、地球上の生物多様性の揺籃地であり、CO2の吸収源として地球温暖化防止にも大きく貢献している「森林」から、再生可能でカーボンニュートラルな「木材」という生態系サービスの恩恵を受けて、「紙」という人間生活にとって不可欠な物資を供給する産業であり、生物多様性の保全に積極的に取り組むことは製紙産業としての当然の社会的責務といえます。

このような認識の下、当会は行動指針を策定するだけではなく、この行動指針に基づく会員企業の生物多様性保全の取組のより一層の推進を図るため、毎年度の実施状況のフォローアップ調査を実施し、その結果を公表し会員企業にフィードバックすることにより、業界としての取組のレベルアップを図って参りました。

こうした中、2022年12月に「昆明・モントリオール生物多様性枠組(Global Biodiversity Framework(GBF))」が採択され、これを踏まえた国内政策として、「生物多様性国家戦略2023-2030」が2023年3月に決定されました。

新たなGBFにおいては、2030年に自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め反転させるネイチャーポジティブ(自然再興)の実現に向け、30by30目標等が示されるとともに、事業者、特に大企業等が確実に、生物多様性に係るリスク、生物多様性への依存や影響を評価・開示することが求められており、こうした取組は、自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:(TNFD))における開示事項の対象となっています。

このように、今後の会員企業の生物多様性の保全においては、従来の取組に加え、企業活動と生物多様性等の関係の把握・管理や統合的な対応が求められていること等を踏まえ、行動指針を見直し、ネイチャーポジティブの実現に向け、これらの取組の推進を図るため行動指針を2025年1月20日に改定しました。

当会は、引き続きフォローアップ調査の実施などを通じて、新たな行動指針に基づく企業活動の推進に努めて参ります。

「生物多様性保全に関する日本製紙連合会行動指針」フォローアップ調査