環境に負荷をかけないエネルギーの利用
地球温暖化対策(CO2排出削減)の一環として、製紙産業は、黒液※、木くず、ペーパースラッジ※などのバイオマス※や、RPF※、廃タイヤといった可燃性廃棄物(表1参照)を燃料として利用しています。これらの消費量は化石エネルギーに替わって年々増加傾向にあります(図1参照)。
表1 ※のエネルギー用語解説
バイオマス | 生物体(bio)により生成した有機性の物資資源(mass)で再生可能なもの。例えば植物や家畜の排泄物、生ゴミなどの有機物資源。バイオマスによるCO2排出は自然環境の循環内のものと考えられ、国際的な取り決めによりCO2排出量としてカウントされていない。 | |
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黒液 | 木材パルプの製造工程で、木材から繊維を取り出した時に出る廃液。バイオマスの一種。 | |
ペーパースラッジ | 紙の製造工程で生じる微細な繊維分などを含む有機性汚泥。バイオマスの一種。 | |
RPF | 再生困難な古紙と廃プラスチックから作られ、石炭同様の火力エネルギーをもつ。廃棄物燃料の一種。 |
図1 バイオマス・廃棄物エネルギーの消費推移
こうして化石エネルギーに替わるエネルギーの開発と利用を行ってきた製紙産業のエネルギー構成比(図2)は、現在では約5割を再生可能/廃棄物エネルギーで占めるまでになりました。この環境負荷の少ないエネルギー利用率の高さは、製紙産業におけるエネルギー使用構成上の大きな特徴とも言えるのです。さらに発生した灰などは、セメントの原料や土壌改良剤として有効利用しています。今後も、よりいっそう環境負荷の少ないエネルギーへの転換を強力に推進していくのが、私たち製紙産業の大きな目標となっています。