製紙産業における省エネ対策の背景とこれから
製紙産業は、エネルギー多消費産業であるため、長年エネルギー対策は重要な課題とされ、数々の対策がなされてきました。特に1973年と1979年の2度のオイルショック以降は、省エネ型設備の導入や操業方法の改善など、徹底したエネルギー節減を積極的に展開し、1981年から10年間で、紙を1トン作るのに使用するエネルギー(エネルギー原単位)を25%削減しました。現在では30%以上削減しています。(図1参照)
図1 紙・板紙生産トン当たり総エネルギー原単位指数の推移

1990年代に入り、地球温暖化をはじめとする環境問題への対応が世界的な課題になる中、製紙産業は従来の省エネルギー対策を一層強化するとともに、地球温暖化の原因となるCO2排出を削減する対策を実施しています。
具体的な対策としては
- 1.従来から利用している黒液(パルプ化工程での廃液)に加え、木くず・ペーパースラッジ(バイオマスエネルギー)、廃タイヤ・RPF(廃棄物エネルギー)への転換。
- 2.従来から行われていた、燃料を焚いて得られる蒸気を発電で利用するとともに、製紙工程にも活用するコージェネレーションシステムなどに加えて、さらなる高効率設備の導入や製造工程の見直しなどによる方法。
が大きな2本の柱となっています。