木材原料の内訳
利用価値の低い木材の活用
森林の効率的な育成のために間伐された木、曲がったり芯が腐ったりしてしまった低質材、さらに製材時に出る残材や製材に使えない天然林材(低質材)など、建築材や木材としては利用価値の低い木や、ゴミとして扱われる切れ端や古材も製紙産業にとっては価値ある原料(図1参照)。これらの貴重な森林資源を余すところなく利用して、木材の有効活用につとめています。
図1 パルプの原料となる木材の構成比 <2023>
人工林材
このうち国産材は低質材と間伐材。
輸入材は間伐材やパルプ原料として育てたユーカリ、アカシアなど。
天然林材
自然の力で育った林材で、これらは持続的な森林経営のもとで計画的に伐採されたもの。
製材残材
丸太から建築用製材を得ると出る三日月型のフチを有効活用。特に国産材では主力の原料となっている。
その他(林地残材・古材など)
丸太を切り出した後に残る太い枝(林地残材)や家屋解材などの古材。
木材チップに端材を活用
木材をパルプにする技術は、丸太をそのまま機械ですりつぶす方法から、木材チップに薬品を加えて高温高圧で煮てパルプを取り出す方法が主流になり、原料とする木材の利用範囲が広がりました。木材チップとは縦横2~4センチ、厚さ4~5ミリの木片(写真1)のため、従来はゴミや燃料として処理されていた端材の利用が可能となったのです。木材チップ利用の推進による端材の有効活用は、すなわち無駄のない森林資源の活用につながっているのです。
コラム:ケナフは木材の代わりになりえるか?
紙の原料の一つとしてケナフという植物があります。「木材の代わりにケナフを製紙原料に」との声もありますが、ケナフは、製紙原料として年間を通じた安定かつ大量の供給が難しいこと(収穫が年1回であり、連作障害を避けるために広大な土地が必要なため)や、ユーカリの年間成長量とほぼ同等であることから、紙需要の多くをケナフでまかなうのは事実上困難といえます。つまり、ケナフは風合を楽しむなど、あくまで目的に応じた使用に適する素材といえるのです。