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サステナビリティ

取組事例

紙パルプ業界のマテリアリティごとに、会員各社の取組事例を紹介します。

資源の有効活用

古紙利用拡大の取組(王子グループ)

王子グループの古紙消費量は国内最大の年間358 万トンです。国内全体の古紙消費量1,485万トンの24%に相当し、幅広い製品にさまざまな種類の古紙を使用しています。古紙利用率は年々増加を続け、高い古紙利用率を達成しており、2023 年の古紙利用率は68.3%となりました。特に段ボール原紙では98.3%となっています。
※古紙利用率=古紙消費量÷全繊維原料消費量(古紙、木材パルプ、その他繊維原料の消費量合計

王子グループは、これまで機密文書の処理を中心に、古紙の利用拡大に積極的に取り組んできました。従来利用するのが難しかった使用済み紙コップや、牛乳パックなどの液体容器をリサイクルする仕組みを新たに構築し、グループの各工場において再利用を進めています。

機密書類処理施設
(王子マテリア江戸川工場)

難処理古紙溶解設備 ニーディングパルパー
(王子マテリア富士工場)

環境配慮型(リサイクル)モデルの確立(大王製紙)

大王製紙株式会社は、株式会社リブドゥコーポレーション、トータルケア・システム株式会社と共同で、使用済み紙おむつのリサイクル事業に関する研究を進めています。また、グループ会社の「大貴」にて猫砂の製造時における、衛生用紙や紙おむつの生産過程で発生したロス品や端材を活用しています。紙おむつの回収フローを通じ、環境配慮型のビジネスモデルの確立を進めることで、GHG排出量の削減にも努めます。

マテリアルリサイクルの取組

学校牛乳パック再生ノート『ムーノート』(大和板紙)

学校牛乳パックのリサイクルはその小さなサイズのため手間がかかり、トイレットペーパー等に再生しても値段が高く、再生が困難な紙として敬遠されていました。大和板紙株式会社は、再生困難な紙を利用していくことが、これからの環境にとって必要と考え、小さな循環型リサイクルの流れを構築し、学校牛乳パックをノート「ムーノート」の表紙に再利用することに成功しました。これは、地域社会の人々の顔が見えるくらい小さく確実な取組であり、この積み重ねが地球環境を支えると考え、この取組を大切にしています。

学校牛乳パック循環リサイクル

ボイラー石炭灰を建築資材に加工(日本製紙)

日本製紙株式会社は、石巻工場において、自家発電のために稼働している石炭ボイラーで発生する石炭灰を加熱改質し、コンクリート用混和材「CfFA®」として販売しています。CfFA®をコンクリート材料として配合することで、施工性の向上やコンクリートの長期強度の増進などの効果が発揮できます。地産地消の建築資材として、これまでに、東北地方の震災復興工事(橋梁、防波堤など)など、直近では川内沢ダム本体工事(宮城県)で採用されています。

JR気仙沼線桜川橋梁
(宮城県南三陸町)
(橋桁、アーチ部、縦綱にCfFA®使用)

紙コップ回収リサイクル(日本製紙)

日本製紙株式会社は、2019年より本社オフィス内で使用された紙コップを回収し、足利工場において段ボール原紙の原料としてリサイクルする取組を行っています。

本社オフィス内の回収ボックス

協働による紙コップリサイクル(日本製紙)

日本製紙株式会社は、パートナーとの協働による使用済み紙コップのリサイクルを推進しています。
2022年12月、日本航空(JAL)と協力し、国内線機内サービスで使用した紙コップ類のリサイクルを開始しました。これは、長年培ってきた日本製紙株式会社のリサイクル技術を活用するとともに、JALグループが使用済み紙コップ類を適切に分別・回収し、日本製紙株式会社グループが輸送・集積・梱包を行う独自ルートを構築することにより実現したもので、羽田発着の全便で実施できた場合、1日あたり30,000個の紙コップ類をトイレットペーパー960巻分に再生する効果があります。
2024年6月には、東罐興業との三社協働により、紙コップに再生する水平リサイクルの実証実験を実施いたしました。また、2024年9月に休暇村乗鞍高原、2025年1月には井口グループとそれぞれ協働し、施設で発生する使用済み紙コップのリサイクルを開始しております。
今後もパートナーとの協働によるリサイクルを推進し、自然資本の持続的な利用や循環型社会の構築に貢献してまいります。

ニチバン、デコリアと協同して使用済み剥離紙のリサイクルを開始(日本製紙)

日本製紙株式会社は、2024年9月よりニチバン、デコリアそれぞれと協力し、これまで焼却処理されていた使用済み剥離紙のリサイクルを開始しました。

使用済み紙容器のアップサイクルプロジェクト(日本製紙グループ)

日本製紙グループは、2024年に使用済みの食品・飲料用紙容器を原料の一部に使用した紙糸からつくる布製品ブランド“choito®”を立ち上げました。
回収された使用済み紙容器を日本製紙富士工場にて高品質なリサイクルパルプに再生し、そのパルプを用いた紙糸を使いタオルやエプロン等の布製品を提供する取り組みです。
本プロジェクトを通じて多くの事業者との協働を促進し、これまで廃棄されることの多かった使用済み紙容器類のリサイクル拡大に貢献していきます。

choito®布製品の例

紙パックを古紙として活用(北越コーポレーション)

北越コーポレーション株式会社は、グループ会社の北越パッケージで生産される牛乳パックをはじめとした紙パックの製品端材に着目し、古紙として活用しています。従来、紙パックは古紙処理する際に表面に貼ってあるフィルムが分離しきれず、原料に混じってしまうため、リサイクルはできませんでしたが「ミルクカートン古紙処理設備」を導入したことで、フィルムを分離して紙パックに含まれるパルプを再利用できる技術を確立し、関東工場(勝田)で生産する白板紙への利用を可能にしました。

ミルクカートン古紙処理設備

再生資源土木資材「リグローブ」(三菱製紙)

三菱製紙株式会社では、廃棄物ボイラから発生した焼却残渣を、石炭ボイラから発生する残渣とともに再生資源土木資材「リグローブ」やセメント原料として再資源化しているほか、鉄鋼原料としても再利用しています。廃棄物の有効利用により、最終処分を削減し、同時に化石燃料の使用量削減につなげています。

リグローブ施工例

段ボール工場の端材の有効活用(レンゴー)

レンゴーグループでは、段ボール工場の生産工程で発生する段ボールの端材をレンゴーグループの製紙工場の原料として100%リサイクルしています。端材の輸送には、製紙工場から段ボール原紙を運んだトラックの帰り便を活用し、物流面での効率化や省資源化も同時に進めています。
また、製紙工場から遠方の段ボール工場では、近隣の同業他社と段ボール端材のバーター取引を実施し、双方の交錯輸送の削減を図っています。

社内リサイクルシステム

機密古紙の製紙原料としての利用(レンゴー)

レンゴー株式会社の製紙工場3拠点(八潮工場・尼崎工場・利根川事業所)では機密古紙専用の処理設備を導入し、従来情報漏えいの問題から焼却処理されていた機密書類を製紙原料として利用しています。
機密古紙の利用に当たっては、情報セキュリティ管理の国際規格であるISO27001の認証を取得し、セキュリティの完備された専用施設内での原料受け入れなど、適切なセキュリティ管理を行っています。

機密古紙専用処理設備