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サステナビリティ

取組事例

紙パルプ業界のマテリアリティごとに、会員各社の取組事例を紹介します。

持続可能な森林経営ならびに生物多様性の取組

Pan Pac社(ニュージーランド)のキウイ保護活動(王子グループ)

王子グループのグループ会社であるPan Pac社(ニュージーランド)は、希少動物「キウイ」の保護活動をニュージーランド環境省や市民ボランティア等と共同で行っています。本活動は、キウイ幼鳥を保護するため約40haの保護区を設け、周辺地域から幼鳥や卵を捕獲し、孵化した幼鳥や捕獲した幼鳥を保護区で育成し、野生に戻すものです。
2019年6月にはキウイ保護団体「Kiwis for Kiwi」が主催する全国キウイ会議においてコーポレート・オブ・ザ・イヤー賞を受賞しました。

希少動物「キウイ」

猿払イトウ保全活動(北海道猿払社有林)(王子グループ)

王子グループは、2009年、北海道猿払村の猿払山林の河川域に生息する絶滅危惧種「イトウ」の保護を目的に、現地NPO、行政、研究者らと共同で「猿払イトウ保全協議会」を設立し、河川域を含む2,600haを保護区域に指定して保護活動に取り組んでいます。

婚姻色のイトウ(オス)撮影:知来要氏
(環境省レッドリスト絶滅危惧IB類に指定)

ブラジル・CENIBRA社における生態系の修復と希少動物の保護活動(CENIBRA)(王子グループ)

王子グループの海外植林地の中で最大規模を誇るのが、ブラジルでユーカリの植林・パルプ事業を行っているCENIBRAです。同社は25万haの社有林を保有・管理し、うち10万haを保護林エリアとして維持しています。保護林エリアはブラジルの森林法に従って生物多様性保全を目的としており、天然林の他、水源地を含む河川や湖沼周辺の植生も保護しています。保護林内エリアで火災等により天然林が消失した場合は、自生の樹種を植林して環境の回復(天然林の再生)を図っています。
同社の生物多様性への取り組みを象徴するのが、560haを天然林保護地区(RPPN)として登録している「マセドニア・ファーム」です。ここでは1990年から、絶滅危惧種「ムトゥン(ホウカンチョウの仲間)」等数種を繁殖・飼育して自然に返す活動をNPOと協力して行っています。また、CENIBRAでは学校や地域社会に向けて森林および生物多様性に関する環境教育の実施や、森林内の動物相、植物相、水資源について、定期的に広範なモニタリング調査を行っています。
※RPPN:Reserva Particular do Patrimônio Natural

ムトゥン

日本・高知県木屋ヶ内社有林におけるヤイロチョウの保護活動(王子グループ)

「ヤイロチョウ」は複数の体色を持つ体長20cmほどの渡り鳥です。環境省のレッドリストでは絶滅危惧種ⅠB類に指定されています。
王子グループは、2016年8月、公益社団法人生態系トラスト協会のヤイロチョウ保護区に隣接している社有林260haにおいて、同協会と「ヤイロチョウ保護協定」を締結しました。2023年10月、同社有林が「令和5年度前期 自然共生サイト」に認定、国際データベースに登録されました。

木屋ヶ内社有林内に生息するヤイロチョウ
(環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB類に指定)
写真提供:公益社団法人生態系トラスト協会

南米チリ共和国の保有山林での天然記念物「アレルセ」の保護活動(大王製紙)

大王製紙株式会社では、グループ会社「フォレスタル・アンチレ」(南チリ共和国)で植林を行っており、その保有林の約半分を天然林として維持し、天然記念物「アレルセ(パタゴニア・ヒバ)」を保護しています。チリ森林公社及び現地NGOと連携して、専門機関による生息状況調査を実施し、同機関から推奨された事項を参考にしながら適切な保護活動を進めています。

アレルセ

「中パの森 高岡」自然共生サイト認定後の取組(中越パルプ工業)

2023年10月に中越パルプ工業株式会社の社有林「中パの森 高岡」が環境省の定める「自然共生サイト」に認定されています。2024年、保護地域以外で生物多様性保全に資する区域(OECM)として国際データベースに登録、また生物多様性の実態を明らかにするため、生態系調査を開始しています。今後も「30by30目標」の達成に向け、かけがえのない森林を守り、生物多様性の保全・増進に貢献してゆきます。

中パの森 高岡

シマフクロウの生息地保全と事業の両立(日本製紙)

日本製紙株式会社は、2010年より(公財)日本野鳥の会と協働し、北海道内の社有林で、環境省のレッドリストで絶滅危惧種ⅠA類(CR)に指定されているシマフクロウの共同保護区を設定しています。また、生息地保全と経済活動を両立する基準を決めて施業を行っています。
生息地保全と経済活動との両立の更なる強化を図るため、協働により得られたデータを活用し、基準の内容を2024年に見直しました。

シマフクロウ
(提供:公益財団法人日本野鳥の会)

国内社有林における環境林分の設置(日本製紙)

日本製紙株式会社は、国内社有林の約20%にあたる約1.8万ヘクタールを、木材生産を行わず、水源涵養・生態系維持などの公益的環境機能を保全する「環境林分」として位置付けており、それらは多くの生物の営みの場となっています。

日本製紙 菅沼社有林

自然共生サイトへの登録(30by30)(日本製紙)

日本製紙株式会社の鳳凰社有林(山梨県)は、2023年に、環境省が定める「自然共生サイト」に認定・登録されました。
同サイトは2030年までに陸・海域の30%以上を自然環境エリアとして保全する国際目標「30by30」の達成を目的とする制度のひとつであり、今後も同サイトの登録追加を検討し、多様なステークホルダーとの協働による生物多様性の保全に貢献していきます。

日本製紙 鳳凰社有林

西表島で外来植物の駆除活動(日本製紙)

日本製紙株式会社は、2017年に林野庁九州森林管理局沖縄森林管理署と協定を締結し、世界自然遺産・西表島でNPO法人西表島エコツーリズム協会と協働で生物多様性保全活動を行っています。西表島には国の特別天然記念物イリオモテヤマネコをはじめとする貴重な野生動植物が生育・生息している一方で、外来植物の侵入への対策が必要とされています。日本製紙株式会社は地元の方々と共に、緊急対策外来種であるアメリカハマグルマの駆除活動やその他の外来植物の侵入状況調査を継続して実施しています。

駆除した外来植物・
アメリカハマグルマ

カナダ(アルパック)における動植物の保護活動(北越コーポレーション)

北越グループのアルパックでは、カナダのアルバータ州政府と森林管理契約を締結し、関東甲信越地方を上回る約6,038千haの森林等を管理しています。同地は森林の他、湿地や湖沼といった多様な地形で構成され、絶滅危惧種のカリブーをはじめ多くの動植物が生息しているため、政府や環境保護団体と連携し、保護活動に参画しています。

絶滅危惧種のカリブー(北方トナカイ)

岩手県外川社有林が自然共生サイトに認定(北越コーポレーション)

北越グループは、国内外に保有する森林について、生物多様性の保全を含む森林が有する多面的機能の維持向上をめざした森林経営を行っています。なかでも、北越コーポレーション株式会社が所有する岩手県外川社有林は、「自然共生サイト(民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域)」として環境省より認定されています。

岩手県にある外川社有林

体験型森林環境学習(三菱製紙)

三菱製紙株式会社では、講義と社有林を利用した観察・計測・植樹・育樹、ものづくり体験としての紙すき・ペーパークラフトなどを組み合わせて、自然と産業のコラボレーションをテーマとして森林保全、地球温暖化防止、生物多様性について考え、SDGsに貢献する体験型森林環境学習を実施しています。2024年は、村火社有林を利用した体験型森林環境学習を13回開催し、参加者合計は、223名を数えました。

体験型森林環境学習

社有林の生態系調査(三菱製紙)

三菱製紙グループは、生物多様性保全に配慮した森林資源の保護・育成に力を入れています。福島県西白河郡の村火社有林では、ステークホルダーのみなさまに体験型森林環境学習の場を提供し、次のような生態系調査を行っています。

・樹木および植物:樹木の太さの計測や植物の種類と分布状況などを調査
・土壌小動物:ピットフォールトラップ法(林床に落とし穴状のトラップを設置し、そこに落ちた動物を採取する方法)により捕獲した動物の種類、個体数を記録
・水生生物や昆虫:捕虫網等により捕獲した水生生物や昆虫の種類、個体数を記録
・動物:動体検知カメラによる撮影を行い動物の種類と個体数、活動の様子を記録

輪尺による
胸高直径の測定
生息する野生生物

森林保全の取組(三菱製紙)

三菱製紙株式会社は、環境NPO「オフィス町内会」との協働事業“森の町内会”による間伐の推進や、岩手県産広葉樹二次林材の循環利用の促進などの取り組みを通じて、森林保全への貢献や地域林業と木材産業の活性化を支援しています。

森の町内会

ビオトープの造成(レンゴー)

レンゴー株式会社の福島矢吹工場(福島県)と武生工場(福井県)では敷地内にビオトープを造成しています。ビオトープや周辺環境の生態系の推移を調査するため、造成以降10年以上にわたり、定期的に生物のモニタリングを実施しており、両ビオトープともに生物多様性の保全が図られている区域として環境省の「自然共生サイト」の認定を受けました。
また、生物多様性やビオトープ、企業と自然の調和について学ぶ機会として、環境教育やビオトープ内で動植物の探索を行うフィールドワークなどを実施しています。

福島矢吹工場ビオトープ

武生工場ビオトープ