サステナビリティ基本原則

策定の背景と趣旨

2015年9月の「国連持続可能な開発サミット」で採択された2030年をターゲットとするSDGsは、多くの国や地域において、その達成に向けた取組が進められており、国内外の企業においても、SDGsを経営戦略に組み込む動きが活発化しています。

SDGsの達成に向けて、企業活動及び産業活動は、「環境・社会・経済」の観点から、今後、長期間にわたって良好な経済活動を維持しながら成長を続けること、すなわち「サステナビリティ」(持続可能性)が求められています。

私たち製紙産業は、再生可能な資源である木材を元々の原料とし、さらには高度な古紙リサイクルシステムを構築することで、資源を循環させた生産活動を行っている他の産業にはない優位性を有しています。また、私たち産業が供給する各種の製品は、文化を醸成し産業活動を支え、国民衛生に寄与する国民生活に無くてはならない素材であり、その供給責任を果たしていくことが、社会・経済の発展に貢献していくこととなります。

私たち製紙産業は今、社会構造の変化に伴い事業環境の変革期に直面していますが、その変化を新たなビジネスチャンスとして捉え、時代に即した製品づくりを行うことにより、SDGsが目指す2030年のその先の未来に対しても、その存在価値を失うことなく、サステナブルな社会の構築に必ずや貢献できる産業です。

日本製紙連合会は、2020年よりSDGsの実現に貢献すべく会員会社とともに活動を開始し、2020年には業界取組方針等を「Towards 2030」としてとりまとめ、2021年には業界の取組を内外に発信するサステナビリティレポートを業界として初めて刊行しました。一方、気候変動や生物多様性の国際的目標が新たなステージへと移行していることに加え、日本政府は昨年GX(グリーン・トランスフォーメーション)政策の具体化、「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」の制定、さらには経済界においては日本経団連が「企業行動憲章 実行の手引き」を改訂する等、SDGs達成に向けて国内外の動きが加速しています。

そこで、日本製紙連合会として新たに「日本製紙連合会サステナビリティ基本原則」を制定し、産業界としての姿勢を明確化し内外に発信することで製紙産業のステータスと事業価値の向上へと導くものとします。

日本製紙連合会サステナビリティ基本原則

日本製紙連合会並びに会員企業は、環境・社会・ガバナンスの各種課題の解決に取り組むことにより、環境と経済が調和する持続可能な社会の実現に貢献するとともに、自らの持続的な成長を実現します。

原則1:責任ある安心安全な製品供給
継続的なイノベーションに取り組み、人々の生活を支える安心安全で優れた製品を安定的に供給します。
原則2:地球環境の保全と再生
事業活動が気候変動や生物多様性等に及ぼす影響を把握し、それらの負荷低減に努めます。さらには、技術開発や自然資本の適切な管理、資源循環の促進、産業間の主体的連携を通じ、環境に関する積極的な取組を推進します。
原則3:人権の尊重
人権に関する国際規範・法令等を遵守するとともに、すべての人々の人権を尊重します。
原則4:労働環境の向上及びダイバーシティ・インクルージョンの推進
従業員の安全と健康を守るため、重篤災害の撲滅に向けて労働環境のさらなる向上を推進するとともに、従業員の生活水準の向上に資する取組を推進します。また、社会情勢の変化に柔軟に対処し、ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に貢献します。
原則5:ガバナンスの推進
内部統制の構築・強化とコンプライアンスの徹底を通じてガバナンスを強化し、公正で透明性の高い企業経営を推進します。
原則6:連携と協働
国際機関や政府、地域社会等との連携を強化するとともに、積極的な情報開示やステークホルダーとの対話を通じて各種課題の克服に取り組みます。

本原則を遂行していくことにより、事業を通じた社会的責任を果たすとともに、取組状況の定期的・客観的な評価・検証による継続的な改善を行います。さらには、持続可能な社会形成に向けた経営トップによるコミットメントと積極的なメッセージの発信に努めていきます。

2023年4月20日制定