日本製紙連合会は、我が国紙・板紙・パルプ製造業の健全なる発展を図ることを目的に1972年に設立され、日本の製紙産業を取り巻く諸課題に対応してまいりました。
近年、気候変動対策や循環型社会(サーキュラーエコノミー)など持続可能な社会実現への取り組みが世界的に加速しています。私たち製紙産業は、紙・板紙の原料となる木材を供給する森林を「自ら植え、育て、伐り、使い、再び植える」という持続可能な循環利用を行いつつCO2吸収源として森林を維持・拡大することで気候変動対策に貢献するだけでなく、一度使われた紙・板紙製品についても高度なリサイクルを行っており、循環型社会実現にも高く貢献している産業と言えます。
また、このような気候変動対策や循環型社会への取り組みの中で、再生可能でありカーボンニュートラルである木材の多分野での利用に期待が高まっており、従来の紙・板紙生産で培った木材利用技術を有する製紙産業は、紙・板紙製品に加え、バイオマス資源である木材から持続可能な航空燃料(SAF)に代表される新燃料、そして自動車の部材をはじめ多様な分野での利用が期待されるセルロースナノファイバー(CNF)やバイオプラスチックなどの新素材を生産するバイオリファイナリ―産業への転換に取り組んでおり、持続可能な社会実現へ一層の貢献ができると考えています。
これらに加え、日本製紙連合会では、物流問題への対応、下請取引の適正化推進などレジリエントなサプライチェーン構築、そして従業員に対する安全で衛生的、健康的な労働環境の整備といった種々の社会課題の解決へ取り組み、業界一丸となって持続可能な社会実現への取り組みを一層強化・推進しています。
1873年に渋沢栄一翁によって製紙会社が設立され、近代製紙業が興ってから150年が経ちました。この間、製紙産業は常に時代の要請に応え、様々な紙・板紙製品を開発・供給してきました。これからも、私たち製紙産業は社会の生活に欠かせない製品を供給するエッセンシャル産業として、関係機関の皆さまと協力し、経済成長と持続可能な社会実現に向け貢献してまいります。
引き続きこれまでと変わらぬご支持とご支援をお願い申し上げます。
日本製紙連合会
会長野沢 徹