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学生×企業×NPO共創プロジェクト「紙の未来 サステナユースワークショップ」がキックオフ! その他

2025.09.29
紙の未来 サステナユースワークショップ

日本製紙連合会は、NPO法人アクションポート横浜、NPO法人新宿環境活動ネットと協働し、大学生を中心とした若者とともに「紙の未来」を描く共創プロジェクト「紙の未来 サステナユースワークショップ」をスタートしました。

このワークショップは2025年8月から2026年3月までの約7か月間にわたり、学生が主体となって企業・NPOと連携し、持続可能な紙産業の未来に向けたアクションを起こしていく取り組みです。

今回は2025年8月28日に東京都北区で開催した、キックオフイベントの模様をレポートします。

紙のことを正しく知ってもらうために

16名の大学生が集まった

挨拶する秋山常務理事

私たちの生活に欠かせない紙は、実は環境に優しい素材です。生産者である製紙業界もサステナブルな環境への取り組みを進めており、原料の木材は植林木や端材で、二酸化炭素を吸収する森林資源を維持。
古紙から作る再生紙の割合も多く、日本の古紙回収率は約80%、その約65%が再利用されていて、これは世界トップクラスの数字です。
ところが、こうした実態と社会のイメージには大きなギャップがあり、「紙は環境に悪い」という誤解も少なくありません。

本ワークショップではそのギャップを埋めるため、若い世代の大学生が紙の現状を学び・発見・発信するプロセスを通じて、紙の未来について主体的な意見を形にしてもらいます。

ワークショップの主要なセッションは「DAY1 紙とサステナを学ぶ特別ガイドツアー」「DAY2 アイデア創発ワークショップ」「DAY3 中間報告会」「DAY4 紙の未来 サステナユースフォーラム」の4回。
紙の基礎知識と現状を知ってもらい、参加者の交流を深めるDAY1には、さまざまな学校の大学生・大学院生16名が参加しました。

冒頭では日本製紙連合会・秋山民夫常務理事から、次のコメントが寄せられました。
「製紙業界にとって環境への対応は重要な課題ですが、一方で誤ったイメージも流通しています。若い人にどうメッセージを伝えていけばいいか、学生の方々と一緒に考えていこうと、今回のワークショップを企画しました。ぜひ皆さんの力を貸していただきたいと思っています。」

特別ガイドツアーで活発な意見交換

続いて参加者は北区・飛鳥山公園内にある「紙の博物館」を見学しました。紙の原材料と製造工程、製紙産業の歴史、リサイクルの仕組みや紙の文化などの豊富な展示について、日本製紙連合会スタッフの解説を受けながら学習しました。

「1トンの紙を作るのに100トンの水が使われる」「意識の向かない場所にも紙製品が使われている」「木材と古紙を無駄なく活用している」といった意外な事実には、参加者からも驚きの声が上がりました。

見学後の意見交換ワークショップでは、参加者がグループに分かれ、博物館で得た「感想・共感」や「疑問・質問」を発表しました。さまざまな感想が寄せられましたが、「紙は適切に使えば再生可能な資源」「リサイクル率の高さに驚いた」「木材を循環させていくのが大事」といった発表には多くの共感が見られました。

さらに「木や古紙以外を原材料にした紙はあるか?」「国によって紙の使われ方に違いはあるのか?」「電子機器の普及で紙の使用量は減っているが、これから先の変化はどうなるか」など、視野の広い疑問も出されました。

これに対して秋山常務理事は「紙の主原料は木材と古紙。一部では竹やバナナの皮なども利用されているが、コストや供給面で限定的」「紙は中国、アメリカ、日本の3か国が主要な生産国」と回答。あわせて「環境負荷をまったくのゼロにすることはできないが、どう低減するかは全産業に共通する使命」とメッセージを伝えました。

広告・パンフレット・SNS 3つのテーマに挑む

ここまでの学びを踏まえ、日本製紙連合会は今回のワークショップで取り組む、次の3テーマを発表しました。

―テーマ① 学食トレー広告の再提案

製紙産業の活動について大学の学生食堂で展開したトレー広告について、デザイン・コピーと訴求効果を客観的に評価し、よりわかりやすく伝わりやすいプランを提案する。

―テーマ② パンフレットの見直し

製紙産業の仕事や環境への取り組みを伝える小学生向けパンフレットについて、現在の内容でどの程度の理解が得られるか検証し、大学生や一般社会人向けに内容を再構成する。

―テーマ③ SNSによる広報プラン

プロジェクトのガイドツアーやワークショップで得た気づき・驚きを中心に、大学生を中心とした若年層に響く、SNSなどを活用した新しい広報プランを検討する。

参加者はそれぞれの関心領域やワークショップ体験を元に希望するテーマを選び、3つのチームに分かれました。

「より現実的な形で、多くの人に届く広告を作ってみたい」
「パンフレットは家族世代に伝わるわかりやすいものにしたい」
「不特定多数をターゲットにしたSNSで自分の得意分野を生かしたい」

など、選んだ理由はさまざまです。
これから先の約7か月間、3チームはそれぞれのテーマに取り組み、プランの進化と実践、最終報告を目指していきます。

紙の可能性を切り開く

ワークショップを終えた参加者からは、次のような声が聞かれました。

「再利用の取り組みを知って、紙と環境の関係について認識が変わった」
「知らなかった事実が多く、驚きの連続だった。奥深い世界だと認識できた」
「よく聞く『紙が悪い』という認識は違っていた。メディアの情報が本当かどうか、ファクトチェックするきっかけになりそう」

また、ワークショップの効果を測る試みも行いました。開始時と終了時に「紙」から連想する単語を書き出してもらったところ、終了時の単語数は開始時の約1.5倍まで増えています。最初は「媒体」「新聞」「安い」といった一般的な単語が中心でしたが、終了時には「製紙業」「古紙」「リサイクル」「パルプ」「繊維」など、紙産業の活動に迫る専門的な単語も、多数挙げられるようになりました。

今回の学びを通じて参加者の視野が大きく広がったように、これからの活動が世の中の認識を変えるきっかけになるかもしれません。大学生世代の視点と製紙業界、NPOの専門的な知識を組み合わせ、紙の新たな可能性を切り開く取り組みが、いよいよ本格的にスタートしました。

このワークショップについては今後もレポートを続けていく予定です。
学生たちがどのように課題に取り組み、どんな発想を生み出していくのか、どうぞご期待ください。

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