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紙のあれこれ

紙のQ&A

紙にも目があるって本当ですか?

繊維の向き

紙を手で破ってみてみるとわかりますが、ピーッと真っ直ぐきれいに破れる時と、途中で曲がってしまって、うまく破れない時があります。
これは、紙を作る時に繊維の多くが同じ向きに並ぶことによるもの。繊維の向きに沿っていれば破りやすく、沿っていない向きでは破りにくくなります。破りやすい向きを「紙のタテ目」、タテ目に対して直角の方向を「紙のヨコ目」といいます。

なぜ紙に絵や字がかけるのですか?

顕微鏡で見た紙の表面

紙の表面は一見、とても滑らかに見えますが、その表面を顕微鏡で拡大すると、実は細かいデコボコがたくさんあります。このデコボコは繊維が絡み合った時にできるもので、この隙間に、鉛筆の芯の粒やペンのインクが乗ることで、紙に書かれた文字や絵が読み取れるようになります。消しゴムで消せるのは、デコボコに入った芯の粒が、ゴムにくっついて取れるためです。

紙が黄ばむのはなぜですか?

しばらく時間が経つといつの間にか黄ばむ

真っ白だったはずの紙がしばらく経つといつの間にか黄ばんでしまうことがあります。これは紙の原料のパルプ繊維に含まれるリグニンという物質が、日光(紫外線)によって化学変化を起こすことが原因です。大切な書籍や紙の製品はなるべく日光が当たらない乾燥した場所で保管するようにしましょう。

牛乳パックは紙でできているのに水漏れしないのはなぜですか?

紙の両面に薄いフィルム(ポリエチレンなど)が張り合わされているためです。現在では牛乳パックだけでなく様々な飲み物が紙パックに入って世界中のスーパーに並んでいます。牛乳パックが開発される前の飲料容器は、ガラス瓶や缶が使われていました。

紙製の段ボールが丈夫なのはなぜですか?

ボール紙(ライナ) 波形ボール紙(中しん)

その答えは段ボールの構造にあります。段ボールの断面を見てみると、通常3枚のボール紙(厚紙)からできていて、ライナーと呼ばれるボール紙の間に、中芯と呼ばれる波型のボール紙が挟まれています。これが強度を高める大きな役割を果たしています。特に重たいものを入れる箱には波型のボール紙を2段、3段と挟むことで強度を高めています。
ちなみに使用済みの段ボールはほとんどが回収され、新しい段ボールに生まれ変わっています。

紙のサイズはどのように決まっているのですか?

外枠が:A0

普段何気なく使っている「A4」、「B5」などの紙のサイズ。A判はもともとドイツ国内の規格でしたが、現在では国際規格サイズになっています。このドイツの規格で決まっているA判の基本A0判は、縦横の長さの比が「1:√2」で面積が1㎡となっています。このA0判の長い方の辺を半分にする度にA1、A2、A3、A4・・・となり、数字が大きくなっていくに従って面積は小さくなっていきます。縦横の比率が「縦:横=1:√2」となっているためどこまで半分にしても紙は相似形のまま面積が半分になります。この縦横比の長方形のことを「ルート長方形」と言います。
これに対しB判は、日本で江戸時代から使われていた美濃紙(みのがみ)の大きさをもとに、面積が1.5㎡の「ルート長方形」をB0判とした日本独自の規格サイズです。

ハガキの歴史を教えてください。

日本で最初に郵便ハガキが発行されたのは、1873年(明治6年)です。当時は厚い紙の入手も困難な時代で、薄い紙を二つ折りにしたものを使って、形も今よりも細長だったようです。やがて、厚手の紙が作られるようになり、1876年(明治9年)からは現在の寸法に近い大きさになったとされています。
現在、郵便ハガキに使われている紙は、少しのことでは傷まない適度な厚さ、強さ、重さ、筆記用具で書きやすい、というのが特長です。私製ハガキを手作りする際には「郵便はがき」の表示を忘れずに記入してください。会社でも友達同士でも、電子メールで連絡することが多い時代。ハガキで気持ちを伝える良さを再認識してみてはいかがですか。

ティシュペーパーとトイレットペーパーの違いを教えてください。

ティッシュペーパー(水に溶けにくい) トイレットペーパー(水に溶けやすい)

紙は使い道に合せて、水にほぐれやすい(溶けやすい)物と、そうでない物に作り分けられています。
例えばティシュペーパーは、水に濡れてもある程度の強さを保てるようほぐれにくくする薬品(湿潤紙力増強剤)などが加えられています。最近では水に流せるティシュペーパーもありますが、ティシュペーパーは基本的に水に溶けにくく作っています。他にも、クリーニングのタグや野菜を包む紙などは水に強い紙の仲間です。
一方、水に素早く溶けるのは、トイレットペーパーやトイレに流せる紙ぞうきん等が挙げられます。また水に溶ける速度をコントロールすると、夏の風物詩である灯篭流しの紙もできます。この紙はしばらくすると水に溶けて自然に還る素材です。

燃えにくい紙について教えてください。

紙にはよく燃えるというイメージがありますが、燃えにくい紙というのもあります。
例えば部屋の壁紙は、防火のために燃えにくくする薬品を混ぜて作られており、たとえ火がついても焦げるだけで燃え上がらずに、すぐに消える仕組みになっています。
他に特徴的なものでは、「紙鍋」というものがあります。水や火に強い丈夫な和紙を皿状にして、中にスープと具材を入れて下から火であぶることができます。見た目の美しさや趣向の面白さなどから料理店などで使われています。

新聞紙が軽くなっているというのは本当ですか?

1㎡当たり52g → 1㎡当たり43g

この30年間、新聞紙は約2割も軽量化されています。
長い間、新聞に使われる紙の重さは1㎡当たり52gが使われてきましたが、49g、そして46gへと軽量化が進んできました。さらに、ページ数が増え、カラー印刷に対応するため、もっと軽く・強い新聞用紙が求められるようになって、今では43gの超軽量紙が最も多く新聞社で使われています。一部では40gの超々軽量紙も使われています。紙の軽量化には省資源、輸送費用の節約、印刷スピードの向上など、さまざまなメリットがあります。

お札の紙の特徴を教えてください。

ミツマタ(ジンチョウゲ科 ミツマタ)

お札は、その金額の価値としてだけでなく、紙そのものもとても高級なものが使用されています。何度も繰り返し折り畳んだりこすれたりしても簡単に破れないように、またニセ札防止のためにも特別な紙を使用しています。
日本のお札の原料は、ミツマタという植物を主原料とした和紙の仲間ですが、詳しい原料の配合はトップシークレットとなっています。また紙を抄く際には、高度な「すき入れ」と呼ばれるすかしの技法も使われています。

不織布は紙ではないのですか?

紙ではありません。「不織布」と呼ばれる一見、紙のように見えて実は紙ではないものがあります。この「不織布」は接着剤で繊維同士をくっつけて薄いシート状にしたものです。水や熱、摩擦にも強く、クッキングペーパーやウェットティシュ、紙おむつなどにも幅広く使われています。接着剤を使ってシート状にするのでレーヨンや合成繊維など木材以外の繊維でもつくる事ができます。

投票用紙のヒミツを教えてください。

選挙の投票用紙には合成紙が多く使われています。実はこの合成紙には、曲げてもすぐに元通りに戻るという特性があります。二つ折りにして投票箱に入れられた用紙が箱の中で自然に元の形に戻ることで、開票作業が簡単になり、以前よりかなり短時間で集計作業ができるようになりました。昔は作業に深夜までかかっていましたが、選挙結果がすぐ出るようになったのは、合成紙のおかげでもあるのです。
「合成紙」は主に石油を原料にしたシートです。水に強く普通の紙よりも破れにくいから屋外に貼られるポスター、地図、瓶などに貼られるラベルなどに多く利用されています。

日本の紙の生産量は世界で何位なのか教えてください。

日本の紙の年間生産量は約2,400万トンと中国、米国に次ぐ世界で3番目の規模です(2021年)。
近年ではアジア各国の大きな経済成長に伴い、紙の生産量も大幅に増加しています。国が栄え人口が増え、さまざまなモノが流通すると、紙の生産・消費量も増加します。

人が1年間に使う紙の量はどれくらい?

日本の国民一人あたりが1年間に使う紙の量は約186㎏、ちなみに世界平均は約55㎏です(2021年)。

紙の原料で一番多く使われているのは?

日本で使われる紙の原料の割合は、古紙(一度使い終わった紙)が約60%と最も多く、木材が約40%です。日本は、世界でも古紙リサイクルが最も進んでいる国の一つです。ちなみに段ボールは90%以上が古紙を原料としています。
新聞紙や雑誌、段ボールなど、私たちの身の回りにはリサイクルされた紙がたくさんあります。

紙のリサイクル方法を教えてください。

紙の繊維はバラバラになってもまた、くっつく!

紙の原料はパルプと呼ばれる木材などの繊維です。紙を作る時には、この繊維を水の中でばらばらにほぐした後、網の上で同じ厚さに広げてから乾かします。
こうして作られた紙を水に入れてかき回すと繊維が再びばらばらに戻ります。この戻したものを材料に作られる紙が「再生紙」と呼ばれるリサイクルされた紙です。紙をリサイクルする時には、古紙についているインクやホチキスの針など余分なものを取り除くことも必要です。

紙製品についているマークは何を表しているのですか?

ノートやトイレットペーパー、紙袋、名刺などさまざまな紙製品についているこれらのマーク、実は「リサイクルされた紙」を使用している製品にだけつけることができる特別なマークです。
また、新聞紙やまんが雑誌など、マークが付いていなくても古紙を利用して作られている紙は、私たちの日常生活の中にたくさんあります。

「3R」とはなんですか?

Reduce リデュース できるだけゴミにならないように考えてものを作ること Reuse リユース 使い終わっても捨てないで何度も使うこと Recycle リサイクル 何度も使うことができなくなったゴミを、形を変えてまた使うこと

世界の森林が減っている理由を教えてください。

森林減少の主な原因、それは「発展途上地域での無計画な伐採」によるものです。実際にアフリカや南アメリカでは、農地へ転用したり、森を焼いて畑や農地として利用する「焼畑」やまきや木炭などの燃料として使う目的での森林伐採が行われており、森林が減少しています。